【イ軍編151】恐怖!若手潰しに定評のあるイ軍打線
サ軍投手陣に彗星の如く現れた新鋭阿藤。
ドラフト5位で入団した無名の高卒新人ながら、キャンプの打撃練習でナチュラルに変化するカットボールを披露してから頭角を現し、先輩投手の故障もあって開幕先発ローテの5番手枠をゲット。その後、5月終盤に入っても未だ無傷の6連勝と、破竹の快進撃を続けているのであった。
その阿藤に、「球界の掃き溜め」ことNPB最弱軍団のイ軍が本拠地新宿スタジアムでフルボッコにされる、いや、迎え撃つ――――筈だったのだが、サ軍首脳陣が急遽先発ローテを変更。阿藤はイ軍戦を回避したのであった。
これには自尊心をくすぐられたイ軍ナインもご満悦、「40億の不良債権」こと4番城戸を筆頭に、
「フッ、確かに新人が俺らを相手にするのは、ちと荷が重過ぎるかもしれんな」
「うむ。難敵を回避して、まずは楽な相手とやって自信をつけさせる――。若手育成の王道を行くワケだな」
等と、どこまでも自分たちに都合のいいマシンガンたわ言を並べ立てるのであった。
一方その頃、サ軍首脳陣――。
「今の阿藤がイ軍とやったら10回やって20回は勝ちそうだが、先の事を考えると危ないからな」
「ええ、奴らエア自主トレと手抜きキャンプで、現時点ではマスターズリーグ以下の打線ですからね。ここまで強打のバ軍やマ軍を抑えてきた阿藤があんなのと当たったら、あまりの落差に確実に調子を狂わせてしまいます」
「イ軍打線がしょーもなさ過ぎて、悪い意味で絶対緊張感が途切れるだろうしな。全く、弱過ぎる相手とやるのも楽じゃないわな」




