【イ軍編143】高卒新人には過酷なイ軍一軍生活
ここ数年、入団拒否の嵐&投げやり数合わせ指名の影響でロクな新人が存在しなかった「球界の掃き溜め」こと東京新宿イディオッツ。
そんなイ軍に、昨年のドラフト6位で唯一入団した高卒野手先崎が、二軍で快打を連発し、首位打者争いを展開。まさかの掘り出し物という事で、俄かに注目を集めていたものである。
例年、エア自主トレ&手抜きキャンプで、春先に打線が壊滅的状況に陥るイ軍一軍にあって、監督不二村は先崎の昇格を二軍首脳陣に打診。しかしながら、
「高卒一年目で体も出来上がってないのに、さすがに早過ぎる。今一軍上げてしまえば、潰れてしまう」
として、頑強に抵抗。
不二村自身、もとより無理な話と分かっていた事もあって、先崎の一軍昇格はひとまず見送りとなったのであった。
一方その頃、イ軍二軍首脳陣――。
「いやあ、これで先崎の奴を潰さずに済んだな」
「ええ、肉体的にどうこうっつーよりも、今一軍に行ったら精神的に絶対良くないですからね」
「うむ。純情な高卒新人が、大不振のくせに練習はエアで済ませて平然としてる一軍連中の中に放り込まれたら、『あっ、プロってこんなもんでいいんだ』ってな感じで勘違いして、ダークサイドに転落する事間違いなしだからなあ」




