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お笑い野球イディオッツ!  作者: 山岡4郎
おいでよ最弱の闇
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【岡井編①】損して得取る

 柳澤GM就任直前のイ軍。

 ベテラン先発投手、岡井の契約更改が行われた。

 結果、現状維持の年俸5000万円。

 一年間、チームで唯一ローテーションを守った事は評価されたが、8勝14敗で負け越し6を記録した点に難癖をつけられ、「球団も経費節減で非常に辛いのだが…」と、泣き落としにかかられたのである。

 納得がいかないのは岡井である。チーム事情で何度かリリーフまでやらされた上、防御率自体は3.81とそこまで酷くもなく、負けが込んだ理由の半分程度は打線の責任もある。ここ数年、怪我で登板数も少なく、チームにまともに貢献出来なかった負い目はあるが、であるからこそ、働いた年くらいは給料を上げてくれて然るべきではないか…。

 岡井はあの手この手で年俸アップを訴えたが、球団側はどうにもならんの一転張り。岡井の温和な性格を見透かしていた面もあったのだろう、折れる気配が一切無かった。

 そこで、岡井は一つ条件を出した。

 年俸は現状維持で構わない。しかし、実家の母親(岡井の母親は野球狂として有名であり、度々マスゴミにも露出していた)には、ある程度年俸上がると言ってしまった。これで現状維持などとバレたら、今まで散々苦労を掛けた病弱な母親がショックで死んでしまう可能性もある…。せめて、こちら側で1000万円増の6000万円であるとマスゴミに匂わせてもいいか?

 はじめは球団も渋っていたものの、実質年俸は上がらないのだから、という岡井の粘りに負け、こちらは了承する事となったのであった…。


 時が流れ、契約更改終了後。

 イ軍の若手選手たちからの口座への送金が完了し、本来の希望年俸アップ額である1500万円増が達成され、岡井は一人ほくそ笑んでいた。

 岡井の年俸増の一報が、若手連中の契約更改の基準となり、一致団結して交渉。球団側は年俸を上げざるを得なくなり、自ら捨て石となって交渉の土台を作った岡井は、彼らの年俸増額分10%を報酬として受け取ったのであった。

 損して得取れとは、まさにこの事であった。


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