【城戸編146】魔球テポドンが演出する爽やかな首位打者争い
マ軍木下とイ軍城戸の首位打者争いは、いよいよシーズン最終戦にまで持ち込まれた。
「40億の不良債権」「帳尻の鬼」ことイ軍で4番を打つ城戸は、ポイントゲッターの打順にもかかわらず、タイトル欲しさで内野全体に散らすプッシュバントで安打を量産。これが本当に4番打者なのかというなりふり構わぬフォア・ザ・ミーに徹する打撃で、遂に3割3分3厘で木下と同率首位に持ち込んだのであった。
その城戸であるが、最終マ軍との3連戦開始時、自軍投手に「頼むから木下は敬遠してくれ!」と、土下座する勢いで懇願したものであるが、一戦目相原、二戦目神崎はの両イ軍先発投手がこれを拒否。それでも相原、神崎共に木下をノーヒットに抑える意地を見せ、遂に前述の状況に至ったのであった。
そして、三戦目のイ軍先発は「北のエース」こと北朝鮮系ベネズエラ人のチョ・マテヨ。
タイトル乞食の城戸も、事ここに至って肚が据わったものか、
「正々堂々と勝負してくれとマテヨには言ってある」
と、敬遠不要宣言をカマしたものである。さすがの城戸も、マ軍木下が「タイトルは正々堂々やって獲ってこそ意味がある」と語り、自軍の投手に城戸への真っ向勝負を依頼した事に、感化されたのか。あるいは、木下と自分を比較しての世間のブーイングに耐えられなくなってしまったのか。ともかくも、城戸のらしくなさ過ぎる言動は、いつもがいつもだけに、ギャップ効果でちょっとした無駄な感動をファンや関係者に生じせしめたのであった――――が、その感動は本当に無駄なものだったのである。以下、後日スッパ抜かれた、城戸の試合前の独り言――。
「かーっ、何でマテヨなんか先発さすんだよ、かーっ! 野郎なら俺がお小遣いあげれば敬遠してくれそうだが、何せコントロールがテポドン過ぎて(※どこに行くか分からない)4球ボール投げるとなると1、2球はフラフラど真ん中に行きそうだからなあ。危なくて敬遠させらんねえよ畜生!!!!」




