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お笑い野球イディオッツ!  作者: 山岡4郎
おいでよ最弱の闇
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【不二村監督編⑫】魅せる自爆采配

 シーズン終盤、今年も夢の三桁敗戦&借金50を危うく達成しかける等、記録的な負けっぷりを晒した「球界の掃き溜め」こと東京新宿イディオッツ。

 そんなイ軍を率いる監督不二村については解任の噂が絶えない状況であったが、ここに来て事態が急変。何と、イ軍ファンの間で不二村留任の署名運動が発生し、あまつさえ、「不二村はよくやってるから年俸上げてやれ」という声まで上がっているのであった。

 他球団と比較すると凄まじい層の薄さで、代打やリリーフ等で時折りキレのある采配を見せてはいたものの、何と言ってもぶっちぎりの最下位監督である。当然ながら本人の自作自演、何としても監督の地位にしがみつかんとするヤラセが濃厚と思われたが、真実、イ軍ファンは不二村留任に向けて、運動を展開しているのであった。

 この熱き潮流に、

「ファンの連中がようやく俺の真価に気付いたようだな」

 と、不二村本人は目頭をそっと拭うのであったが、イ軍ファンの真の狙いは別のところにあった。

「超高額の罰金喰らってでも城戸を強制欠場させる程のガイキチは、不二村しかいないからな」

「うむ。奴の年俸を上げさせて、少しでも多く城戸を欠場に追い込もう」

 そう、全ての原因は、「平成の凡退王」「アジアのブレーキ」「世界の併殺魔」こと、イ軍の4番城戸にあった。城戸が10年40億のFA契約を前オーナーと直接結んだ際に捻じ込んだ、「自分の意思以外で試合欠場した場合は監督に罰金が発生する」というとんでもない契約条項が今年明らかになり、イ軍最大の敗北要因城戸を、どうしても勝ちたい不二村が罰金払ってでも何試合か欠場させていた事が判明。

 勝負所で凡退を繰り返し、どうでもいい場面で豪打を見せつける城戸をベンチに幽閉し、何とかイ軍の勝ち星を増やしたい。そういったイ軍ファンの切なる願いが生んだ不二村留任嘆願なのであった。

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