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【イ軍編124】無自覚キングメーカー
9月某日、プロ野球実行委員会が招集され、来季の試合日程の調整が行われた。
その席上、「球界の盟主」バ軍を筆頭に、上位チームの球団代表が「球界の掃き溜め」ことイ軍戦を巡って激しい応酬を展開。委員会は大荒れに荒れたのであった。
「まあまあ皆さん、ドル箱カードである我々イ軍と早い段階で試合をやって、収益を確保したいのは分かります。しかし我々もいい年こいた大人ですし、ここはひとつ穏便にやろうじゃありませんか」
と、上から目線で勘違い発言をカマしたのはイ軍代表穴沢である。
他セリーグ5球団の代表連は「ドル箱カードってお前」と、口にこそ出さぬものの、穴沢の機嫌を損なわぬよう、ギリギリのラインの顔芸で全力突っ込み。
シーズン終盤、それまでのエア自主トレ&手抜きキャンプでなまった体がシーズン開始から五カ月で仕上がり、「消化試合の鬼」と化すイ軍。その優勝への最大の障壁を可能な限り回避してペナントレースを有利に運ぶべく、セ5球団の熱い駆け引きが展開されるのであった…。




