【イ軍編122】エースを助ける投手陣の鑑
「球界の掃き溜め」こと東京新宿イディオッツで、唯一のスター選手であるエース相原。
イ軍以外の球団であれば年間15勝は固いとされているが、野手の拙攻拙守、加えてリリーフ投手の炎上癖で足を引っ張られまくっており、実力の割に勝ち星がついてこない事に定評がある気の毒な状況であった。
そんな相原に、某野球雑誌がインタビューを敢行。お約束の、
「大変なチーム状況で奮闘されていますが、どんなお気持ちで投球されてるんですか?」
との前振りの下、チームメイトについても質問が及び、歯に衣着せぬ罵詈雑言トークが展開されるものと思われた。
だがしかし、血の気の多い事で有名な相原であるが、あまりにも報われない投球が続いてしまったせいで、遂に悟りを開いてしまったのか。
「野手についてはまあご覧の通りですけど、投手陣に関しては、助かってる部分も多いんですよ」
と、取材者が完全に肩すかしを喰らってしまう、淡々とした様子であった――――とはいうものの、最後にきっちり、オチはついたのであった。
「投手陣っつーか特に先発の連中ですね。同じチームとの連戦の時、俺が2戦目か3戦目に投げると、相手チームが物凄く打ち辛そうなんですよ。何でも、俺の前の先発があまりにもショボ過ぎて、ギャップで物凄くキレて見えるらしいんです。まあそういう意味では助けられてますかね」




