【風神雷神編④】他球団財政クラッシャー
被本塁打世界記録保持者である、滞空時間が長いフワリとした放物線のホームランが持ち味の、イ軍の“風神”こと岸谷。そして同じく、あっという間にスタンドインする弾丸ライナーのホームランが得意の“雷神”渡瀬。
そんな、イ軍の豪華S級戦犯陣の一翼を担う風神雷神コンビであったが、今年は特に職人芸が冴え渡り、投球が打ち頃のど真ん中に集中。夏本番前にも関わらず、打ち上げ花火大会状態に突入していたのであった。
だがしかし、一体何を評価されたのか、セリーグの他5球団がトレード期限直前になって、風神雷神の争奪戦を展開。イ軍が欲張って各球団のスター選手を要求したためご破算になったものの、今年一番の怪現象としてファンの間で記憶される事になったものである。
一方その頃、某球団首脳陣――。
「おい、風神雷神獲得に失敗した以上、奴らと当たる時は二軍の選手と入れ替えるしかないぞ」
「ええ、風神雷神相手にあまりにも打ち過ぎてしまって、このままではウチの打者連中の年俸大幅アップは確実ですからね。何とかして成績をセーブしないと、我々の財政は破綻してしまいます」
「風神雷神を相手にすると、それまで調子を落としてた打者までがしばらく打ちまくるようになっちまうからなあ。全くとんでもなく迷惑な話だよ」




