【城戸編138】泣けるコーチ就任ご祝儀
「40億の不良債権」「アジアの併殺魔」ことイ軍の4番城戸が、選手兼任で打撃コーチに就任。スタメン出場しない際には、一塁ベースコーチとして立つ事になったものである。
これと時を同じくして、エース相原の呼びかけで、
「俺達も打撃を強化しよう」
と言ったとか言わないとか、投手陣が自発的に打撃練習を展開。今まではバッティングをおざなりにしていた投手までもが、目の色を変えて真剣に取り組むようになったのであった。
「フッ、あいつらも俺がコーチになったから、気合が入ってんですよ。『城戸さんに恥をかかせるワケにはいかない、城戸さんの為に俺達も打とう』ってね。全く、泣かせる話じゃないですか」
と、訊かれてもいないのにドヤ顔でマスゴミに喋りまくる城戸。
だがしかし、イ軍のこういったネタが、美談である筈はなかったのであった。
「よーし、右で打つ奴は右打ち、左で打つ奴は引っ張り、この調子で徹底して行こうぜ」
「うむ。城戸が一塁ベースコーチに飽きる前に、何としてもファウルに見せかけた暗殺打球でノックアウトしとかないとな」
「ええ、奴の併殺と失策から解放される、またとないチャンスですからね」




