【アームブリスター編⑨】必殺代理人2014
ペナントレース終了、契約更改の時期がやってきた。
メジャー300発男の触れ込みで、悪徳代理人がイ軍に突っ込んだ同姓同名の別人アームブリスターは、年俸3億の2年契約が満了。しかしながら、シーズン中の懸命な残留アピールが実り、実力に見合った大幅減給の上で、再契約の見通しとなっていた。
とはいうものの、そこは契約にシビアな外人選手である。
代理人を立てて、自分の不成績(今年ほぼフル出場で打率244本塁打13打点32)は棚に上げまくり、
「成績だけじゃなくて、パフォーマンス的な側面でも評価できるだろ? 凡退時の顔芸とか相手マスコットとの乱闘芸とか」
等々、独自の年俸加算ポイントを設定してゴリ押しまくるのであった。
球団の提示額が3千万で、ブリの希望金額がまさかの現状維持で3億。10倍の開きではお話にならず、交渉は難航を極めたものである。
「しょうがねえ、奥の手を使うか」
と、アームブリスターは土壇場で代理人を変更。一気に攻勢に廻り、何と3億×5年での契約をゲットしたのであった。
「フッ、高くつくのは癪だったが、背に腹は抱えられねえ。1000万でアメリカから催眠のプロを呼んで、こっちの希望額でハンコつかせたのよ」
ドヤ顔で外人選手仲間に武勇伝をカマすアームブリスター。
しかし、前述のプロ催眠術師が英語しか解さない事が、とんでもない悲劇を生んだ。
アームブリスターとの打ち合せ時、当然会話は英語だったのであるが、
「3億はざっくり300万ドルだ」
と説明していたのが仇となり、3億円のつもりで300万円で契約してしまっていたのである。
年俸3億ゲットしたつもりになっていたアームブリスターは、気が大きくなって無駄なお買い物で散財連打。そこから事態が発覚する一大転落ノンフィクション映像が球界を席巻する事になるのであるが、それはまた別の話である…。




