【イ軍編110】一発屋コーチ
また今年もやられてしまった。
春のキャンプを迎え、初日にしてイ軍首脳陣は早くも頭を抱えたものである。
昨年秋、メジャーから鳴り物入りで獲得した名守備走塁コーチ、ビリー・コナーズ。と、思いきや、悪徳代理人に騙されて、またしても同姓同名の別人を掴まされた事が判明したのであった。
「契約時に、代理人から『最近マイケルにハマったから美白にしてる』って言われて、デリケートな問題だから突っ込めなかったのが痛かった…(※本物のコナーズは黒人。自己紹介時に、本職ストリッパーで「チアボーイとしてお前らを元気づけに来たぜ!」として、ご挨拶のダンスを披露した事から、別人である事が発覚)」
昨年のアームブリスターに続いて二年連続の悪夢に、しかし、イ軍首脳陣は失態隠しの奇策を練ったものである。
「『ノックを思った所に打てないんだ』とか言ってたが、とにかく打たせよう。それで、選手が捕れなきゃ罰金にして、『どこに飛ぶか分からない状況でノックすれば、実戦と同じ緊張感が保てるだろう』とか何とか通訳に言わしときゃ、とりあえず格好も付くだろ」
だがしかし、このトンデモ奇策は、物の見事に失敗に終わる。
本物との実力差は天地レベルなれども、まだ高校野球並みのプレーが期待できたアームブリスターは、良心的だったのだ。
今回のコナーズは、野球に関してあまりにも素人過ぎた。何と、ノックのボールをバットに当てられないレベルの野球音痴だったのである。そして、「じゃあ下のバットで頑張るぜ!」と、股間を使ってボールをリフティングする捨身の芸を披露して、場を凍り付かせる事しか出来なかったのであった…。




