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命を守る八百長
真夏のマ軍―イ軍戦。
試合中盤になって、マ軍ベンチでは監督から、あるとんでもない指令が出されていた。
曰く、
「ワザと凡退しろ」
と、来たものである。
この八百長采配に、豪打を誇る勝負師揃いのマ軍ナインは大激怒――――しなかった。誰もが皆、死んだような目でぼんやりと監督を眺めるだけである。
「ここから凡退しても、査定にはノーカウントにするという事でGMと話つけたから。気が向かない奴もいるだろうが、チーム全体を考えて納得してくれ」
特に反対意見も無く、マ軍ナインは全員が頷いたものである。
こうして、6回の時点で25-0と豪打爆発していたマ軍は、その後簡単に凡退を繰り返し、試合は淡々と進行。
イ軍爆炎投手陣の止まらない被安打地獄による試合時間長大化を回避し、何とか熱中症患者を出さない事に成功したのであった。




