【イ軍編98】2軍オタの優勝戦線
エア自主トレ&手抜きキャンプ&契約更改直前の最後の一か月だけ本気出す態勢で、大不振を極めるイ軍ベテラン野手陣。
様々な契約条項の関係で2軍に落とした側にペナルティが発生するものの、堪忍袋の緒がブチ切れたイ軍不二村監督は罰金覚悟で大粛清を断行。外人選手を含む、遊撃手草加部以外の開幕スタメンだった野手全員を2軍に追いやったのであった。
「おいおい、俺らにインセンティブ取らせないつもりかよ」
「2軍のショボい投手ばっか相手にしてたら1軍で余計打てなくなっちまうぞ」
等々、不満タラタラのイ軍ベテラン野手陣であったが、意外にも2軍のファンは暖かく、彼奴らが打席に立つ度、声を嗄らして必死に応援を展開するのであった。
「フッ、やっぱ俺らのオーラは2軍の連中とは違い過ぎるんだろうな」
「しょうがねえ、2軍オタの皆に1軍の野球を見せてやるとするか」
予想外の歓待にコロリと態度が変わったイ軍ベテラン野手陣。
しかし、2軍ファンの真の思惑は、全く額面通りとは行かぬものだったのであった。
「おい、このまま1軍の産廃連中が居座っちまうと、こっちの優勝争いがマジで危ないぞ」
「うむ、奴らを秒速で1軍に送り返す為に、俺らも頑張ろう」
そう、2軍がせっかく優勝争いしている中で敗北要因を大量に突っ込まれちゃたまらない、なるべく活躍させて、とっとと1軍へ戻ってもらいたいという必死の思いからの応援だったのである…。




