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【城戸編132】足攻めの真相
真夏のバ軍―イ軍戦。
鈍足揃いで「不動の打線(※塁上で)」と悪名高いイ軍打線であったが、難攻不落のバ軍エース森田が相手とあってか、作戦変更。いつもと異なり、走者が執拗に次の塁を窺う素振りを見せるのであった。
だが、バ軍ベンチでは、
「うーむ、森田は走者を全然気にしてませんね」
「どうせ走られたところで、イ軍の奴らの足が遅過ぎて絶対刺せるだろうしなあ」
「不二村(イ軍監督)も無駄な事するわな藁」
等々、上から目線で超余裕の構え。
しかしその中で、監督の佐田だけはこの不二村采配の真の意図を見抜き、唸らざるを得なかったのであった。
「不二村は流石だよ。走者をチョロチョロ動かしてるのは、バッターが城戸の時だけだ。城戸の集中を乱してボールにバットを当てさせず、併殺を回避する腹積もりなんだ」
そう、このイ軍の足攻め(※結局走るフリだけだが)は佐田が見破った通り、走者一塁時併殺率8割を誇りながらも契約条項でスタメン4番から外せない、「アジアの併殺魔」こと城戸対策だったのであった。




