【城戸編702】シン・犠牲バント
9月下旬、セリーグの首位打者争いは、マ軍の新鋭東田、イ軍の「40億の不良債権」城戸のマッチレースとなっていたものである。
この状況で、マ軍がセリーグ優勝を決めた翌日からイ軍との三連戦を迎えるにあたり、城戸の邪悪な笑みは止まらないのであった。
「先様がビールかけ&祝勝会でアルコール大量摂取した動画はこちとら視聴済やからね。二日酔いでフラフラになったところをよ、三塁を守る彼奴のとこにバント転がす――――と見せかけてやっぱ投手前、いやいや一塁前とフェイント連発して、ダッシュさせまくりでトドメ刺してよ、首位打者タイトル頂きますなんやで(確信)」
てな感じで心ある野球オタからのディスやブーイングにも一切動じず、バントしぐさ連発からの実際に三塁前バントを繰り出した城戸であったが、想定外だったのは、このダーティボールを喰らった東田のコンディションである。
完全二日酔いで何度もダッシュを繰り返した事で明らかに調子が悪そうではあったが、たまたま9月にも関わらず気温が30度越えだった事もあり、アルコールが汗で抜けて次第に体調が復活。からの、1打席目では鈍かったスイングが、2打席目以降で鋭さを増していき、結果的には5打数4安打の大当たり。
「ちょ、待てよ!!!!」
と、アテが外れた城戸は動揺してバントの手元が狂って、5打数1安打で無事死亡。最終的にはこの直接対決の精神的動揺が尾を引いてタイトルを東田に持ってかれるとかいう、自分が犠牲になってライバルのタイトル獲得に貢献する、シン・犠牲バント(超適当)が完成したのであった。




