【イ軍編3568】最弱球団所属なのに常勝球団みたいなスケジュール感でコンディション作りする「マウンドの詐欺師」
「マウンドの詐欺師」の蔑称――――いや、愛称で呼ばれ、いかにも何かを指先に塗り付けてるかのような違法投球するぞするぞ投法で悪名高い最弱イ軍の神崎であったが、おサボり達者のイ軍戦犯系ベテランズにあっては、貴重な割と練習する方の選手ではあった(といっても他球団のガチ練習勢と比較したら、お察しではあったが)。その神崎であるが、毎年開幕はスロースタートで、夏場にピークが来るように調整していたものである。
「いやあ、お薬だ粘着性物質だ何だ言われとりますが、長くやっとるだけあって神崎さんはさすがですね。どう見ても優勝出来なさそうなチームなのに、優勝争いを想定してるみたいなコンディション作りしてて、涙不可避ですわ」
と、一軍に定着し始めた頃のヤングエース相原が、呆れ半分・感嘆半分で感想を述べたのであるが、そこは神崎本人から秒速で訂正が入ったのであった。曰く、
「毎年勝率2、3割とかなのに優勝に照準合わせとるとか、ンなワケねーやろ! 逆や逆! イ軍は弱過ぎて例年夏場に最下位が確定するんやが、そん時の監督が一日でも先送りしたいいうて狂気采配に走りよってなあ。スクランブル起用だ何だと、先発ローテいじくりまわすからの~。ほんで登板間隔が中5、4、3、2と詰まってくる上に突然のリリーフ起用まであるから、壊されんように体作りしとかんとエライ事になっちまうんや(憤怒震え声)」




