【イ軍編87】じゃあ、いつ投げるの?
今年もプロ入り志望の有力高校生投手にとっては苦しい季節、酷使無双で選手生命の危機に晒される夏の甲子園の季節がやってきた。
そんな中、世間の酷使反対の潮流に対して、何故かイ軍投手陣が猛反論。
「だから四の五の言わず、とりあえず投げとけって!」
「うむ。人間、そうそう勝てるチャンスなんてねえんだぞ」
等々、万年最下位チームだけあって、無駄に説得力のある論陣を張ったものである。
特に高校生を慮っての事ではなく、むしろその逆で、
「一人でも多くの有望高校生が潰れてくれないと、俺らのプロ生命が脅かされる」
という、どこまでも自分本位な考えから発した行動なのであった。
しかし、このイ軍ナインの訴えが、世論を動かした。イ軍がやる事には何でも反対のアンチが過剰に反応し、ネットで「酷使、ダメ。ゼッタイ」の一大ムーブメントが発生。ちょっと連投させただけでもフルボッコにされてしまうという、高校野球の監督が酷使し辛い雰囲気が醸成されたのである。
まともな有望新人は仮にイ軍にドラフト指名されても100%拒否するので、イ軍投手に直接的な影響は無いのだが、有望新人に押し出された他球団の投手がイ軍に流れてくる為、結局は同じ事であった。
MK5(マジで解雇5秒前)からMK3(同左3秒前)へ――。
自分たちのクビを早めてしまうであろう、意図した方向とはまるで逆のブーメランボール完成に、イ軍投手陣たちは総員顔面ブルーレイと化したのであった…。




