【綿貫編⑪】解任確定済のコーチの使い方
イ軍正捕手「球界一性格が悪い」綿貫の新鋭時代――
両打ちの勝負強い打撃には定評があったものの、リードには難有りと見られていた3年目。当時所属していたマ軍のチーム成績が低迷し、シーズン終了を以って監督以下首脳陣が全員解任される事が決定していた。
その消化試合のタイミングで、せめて若い連中に経験を積ませようという首脳陣の方針で、綿貫もスタメン出場が続いていたものである。
そこで、それまで首脳陣に対して比較的従順だった綿貫が、反抗的な態度を見せるようになったのだ。基本的にリードはバッテリーコーチの富田(既に解任確定済)からサインを受け取っていたのであるが、打たれた場合、露骨に富田をなじるような素振りを見せ、抑えれば、まるで自分の手柄のようにドヤ顔で振る舞う――――。
富田のサインを完全無視して全て自分でリードしている上での綿貫のこの行動、「おいコラいい加減にしろや」と富田が激おこになったところで後の祭。「富田のサインはどうしようもない」という評価が球界に定着し、その後の再就職に悪影響を及ぼしたものである。
綿貫に対して、ディスり多めで指導していた事が完全に裏目になり、とんでもない形で意趣返しを喰らった格好となったのであった…。




