【相原編⑧】「イ軍投手陣の皆さんのおかげです(棒)」
セリーグ、シーズン最終戦のマ軍―イ軍戦。
イ軍にとって、負ければシーズン勝率3割5分を割り込んでしまうこの一戦。もしそうなれば、イ軍内部では選手及び首脳陣が罰金の査定対象になってしまう為、必勝を期して先発にエース相原が送り込まれたものである。
しかし、さすがの相原もシーズン通して中5日ローテを守ってきた疲労からか、失点こそしないものの制球が定まらず、非常に不安定な内容であった。
そんな状況の中、
「罰金だけは絶対に嫌だ」
とばかり、イ軍投手陣が信じられない行動を見せる。
何と4回表の段階で、こういったプレッシャーの掛かる試合では声が掛かっても聴こえないフリをする事が大半の腐った性根の連中が、リリーフに備えて自主的にブルペン入りしたのである。更にそこには、本職のリリーフ投手だけでなく、先発の神崎、マテヨ、風神雷神の姿もあった。
この異常事態に、イ軍広報部も素早く反応。即席のお涙頂戴ストーリー風語りを添えてオーロラビジョンで煽りまくり、球場は異様な雰囲気に包まれたのであった。
そして、時を同じくして相原の様子が急変。尻上がりに調子を上げ、投げては9回11奪三振無失点、打っては決勝の三塁打をかっ飛ばし、1-0で完封勝利を挙げたのであった。
試合後、罰金回避で湧き上がるイ軍本拠地新宿スタジアムで、相原のヒーローインタビューが行われたのであった。
「ええ、ウチの投手連中が全員ブルペンに入ってね。正直あれは物凄く効きました。ホント皆さんのおかげですよ。ええ、(イ軍投手陣が)こういうプレッシャーが掛かる試合で投げたら、絶対ビビって失点するに決まってますからね。これは俺が完封しなきゃどうにもならねえなって、気合が入りました」




