【アームブリスター編③】粘り
今季加入の新外国人アームブリスターが、来季の契約を勝ち取る為に必死だ。
メジャー200発の大砲として期待されながら、ここまで103試合出場で打率2割5分5厘、本塁打13本、打点44と平凡な成績に終わってしまったアームブリスターことブリちゃん。そんな彼が、来季に向けて追い込みをかけている姿が、ベンチ内で目撃されるようになった。スコアラーが作成した対戦相手のデータを読み込み、相手ピッチャーを研究した上で、打席に立つようになったのである。
即座の結果こそ出ていないものの、ブリちゃんのひたむきな姿勢はチーム内でも共感を呼び、二塁を守れる事もあって、一転残留の目も出て来たと噂される程であった。
…という美談仕立ての記事となるはずであったのだが、ブリちゃんにインタビューしたところ、話は衝撃の展開を見せる。
「対戦相手ノ研究? イヤ、チガウネー。コレハ今マデノボクノ全打席ノデータヨ。凡打ノ中ニ有効打ガ隠レテナイカ探シテルノヨ。見ツケタラ球団ニ申請シテ、少シデモプラス査定ニスルヨウオ願イスルネー」
イ軍の選手相手に、例え外国人選手であっても、何かを期待するのは大間違い。
そういった原理原則を思い知らされた格好の、本紙イ軍番記者であった。




