【イ軍編3490】記録達成ビヂネスの鍵を握る個人的怨恨!
関西のサ軍で首位打者1回、本塁打王2回の実績を誇る大スター千田が、1999安打の時点でビジターとなる最弱イ軍三連戦を迎えていたものである。
現イ軍監督の沢木がサ軍監督時代、新人だった千田が沢木の単打育成プログラムを拒否して長距離砲として大成した事で、世間から指導力ゼロオブゼロの烙印を押された沢木は千田にヘイト2000万パワー。それだけに、自分の目の前での記録達成絶対許すまじ態勢で、まずは初戦、ローテ崩してエース相原を先発させる――――と思いきや、先発は本塁打世界記録保持者(※打たれる方)の“風神”岸谷なのであった。
「ちょ、待てよ! 監督さあ、この三連戦は沢木のオタがグッズ爆買い確定なんだから、引っ張れるだけ引っ張ってもらわんと! 風神なんかに投げさせたら、初回本塁打であっさり記録達成で、何の盛り上がりもなく終わっちまうで!」
と、思わず沢木に鬼電してしまうイ軍球団社長に対し、不気味な余裕を漂わせたアンサーが返って来るのであった。曰く、
「社長、そこはしっかり考えてますよって! 何せ沢木の記録達成を見たくない事に掛けては、ワイは日本ランカー、いや世界ランカーですからね(確信)」
果たしてイ軍先発は予告通り風神なのであったが、エース相原が7番レフトで出場。そして初回、四番に座る千田の打席で相原が風神とポジションチェンジし、ワンポイント登板したものである。
「この三連戦は全部これで行くんやで。彼奴に対しては全打席ウチの最強投手をぶつけて記録達成絶対阻止、千田の不満顔でご飯がご飯がススムくんやねんッ!!!!」
てな感じで邪悪な笑みを浮かべた沢木の目論見通り、相原は千田を三球三振に仕留めて、イ軍本拠地新スタに詰めかけた千田オタ、サ軍オタに大いに溜息をつかせたのであった。が、ここから雲行きが急変。相原がレフトに入った事で、センターの「使い勝手の悪い便利屋」こと諸橋が、「今日は動ける奴が隣におるから楽出来るで~ッ! 左中間とセンターは全部お任せ、ユーガーリ(You got it=あーたがボール捕ってどうぞ)でオナシャス」と、完全ぼっ立ち態勢。その余波で、外野守備に不慣れな相原が広範囲をカバーする羽目になり、見る間にスタミナを消耗。千田の二打席目、再度のワンポイントでマウンドに登ったはいいが、制球を乱してストレートの四球。そして第三打席を迎える頃には疲労困憊でバテており、打ち頃の棒球を、バックスクリーン上段に叩き込まれて無事死亡。昨年、勝負どころのイ軍戦で相原を打てずに引き分けにしてしまい、0.5ゲーム差でCSを逃してしまった伏線があった事で、千田はベース一周しながら涙ガンギマリ、サ軍オタの熱狂も限界突破。転じて、イ軍監督の沢木は、このあまりにも分かり易すぎるヤラセっぽさからの八百長疑惑と、千田記録達成カウントダウン特需を一試合目で終わらせてしまった商機スーパーロストによる不始末二刀流で風のように解雇。千田の2000本安打達成に花を添える、お星様となったのであった(適当)。




