【イ軍編3473】魔法のノックバットが、5位争いへのシャイニングロードを切り開く
最弱イ軍でプロ生活19年、通算42安打ながらも存在感の薄さが幸いして生き残ってきた小西が、人手不足で引退即守備走塁コーチに就任。「ワイが選手を徹底的に鍛えて5位争いの立役者になるッ! なるッ! なるッ!!!!」と、今までの巧みなおサボりは何だったのか的な、立場が変わって全力掌返し・やる気スイッチ16連射モードに突入したものである。
その勢いで、チームの闇商人兼野球選手リバースから、選手がギリギリ捕れる範囲に打球を飛ばす魔法のバット「FuCK-OH79」を334万円出して購入。ヨッメには「この投資は確かに痛いかもしれん、ユーのエステや推し活なんかもしばらく我慢してもらう事になる。しかしチームを5位争いに導いた功績で、オフには年俸3倍買王拳だから…」と、説き伏せての大勝負に出たのであった。
果たして春季キャンプ、小西の魔法のバットから放たれるノックは、絶妙なコースを突く――――筈が、野手の正面ばかり。
「WHY!!!!???? 何やこら、不良品やんけ!!!!」
と、リバースに猛クレームを付けた小西であったが、霊媒師を呼んでの鑑定の結果はシロ。
「小西はん、バットには何の問題も無いんやが、イ軍の野手がアレなんよ。エア自主トレであまりにもガバガバボディに仕上がり過ぎとるから、正面への打球が『ギリギリ捕れる範囲』になっちまっとるんや」
だが、そんな事情など全く分からない球団上層部は、小西が選手に買収された八百長ノックと判定してガンギレの上にもガンギレ。小西はキャンプ終了を待たずして風のように解雇され、年俸ではなくヨッメから怒りの離婚訴訟10倍買王が拳繰り出されるオチが付いたのであった。




