【チョ・マテヨ編⑫】魔球テポドン②
ある初夏の日、イ軍本拠地東京新宿スタジアム。
「北の火薬庫(※炎上的な意味で)」こと北朝鮮系ベネズエラ人投手、チョ・マテヨが、試合前練習のキャッチボールで絶叫した。
「なんだこりゃあ!!!!」
主砲城戸と、セリーグ投手物真似10番勝負でふざけていたところ、某投手の握りで投げた球が、フラフラ揺れつつ急激に落ちるという、とんでもない不規則な変化をしたのである。
マテヨと言えば、あらゆる変化球を操りながらも、ほとんど変化しない為に全部同じに見えてしまう事で悪名高い程の棒球投手である。それだけに、前述の恐ろしい程の変化をする魔球発見の衝撃は大きく、その不規則な軌道から「テポドン」と名付けられ、当日の試合に速攻で投入されたのであった。
果たして、相手打者に対して、唸りを上げて襲い掛かる魔球テポドン。
120kmでフラフラしながら急速に落ちる、いわゆる高速ナックルに、打者たちは度肝を抜かれ、言葉を失ったものである。
しかし、本物のテポドン同様に飛距離が足りず、ストライク・ボール以前にホームベースに到達出来ずに万事休す。結局四球地獄にハマり込み、相手に何もさせず炎上するという、見事な自爆劇を演じる結果となったのであった…。




