【城戸編662】必殺フィッシング打法、そして
「城戸の内野安打を防いだら1回○十万」
とかいう所属球団からの極秘メールを受け取ったのは、関西のサ軍の三塁手河田。愛人への手切れ金をケチったばかりに、SNS暴露&暴露で窮地に追い込まれているタイミングだけに、今後の離婚訴訟他金策の為にも絶対インセンティブゲット態勢で、守備練習から気合が入りまくっていたものである。
その様子を見ながら邪悪な笑みを浮かべていたのが、件の城戸、最弱イ軍の四番一塁手であった。
「クックック~ン、釣れとる釣れとる。こマ・鈍足こと河田との一騎打ちなら、絶対セーフに出来るからな。フィッシング打法で大勝利やねん(確信)」
果たして迎えたサ軍-イ軍戦、満を持して城戸が三塁前に転がした打球は、猛ダッシュしてきた河田が捕球からの一塁間に合わず間一髪セーフ――――とはならず、投手と遊撃手も球を捕りに行った結果、ビックリした河田がお手玉してコーロコロ。判定は河田のエラーとなり、
「ちょ、待てよ!!!!」
という城戸の悲鳴が球場に響き渡ったのであった。
そして、インセンティブ(エア)を取り損なって呆然とする河田を、グラブで隠した口元で会心の笑みを浮かべて眺めつつ、サ軍投手と遊撃手の感想戦――――。
「愛人スキャダルで弱っとる今だからこそ、パワハラ野郎(河田)を徹底的に追い詰めたらなアカンからな」
「選手有志(ほぼ全員)がお小遣い出し合ってスーパーハカー雇った甲斐があったわ。彼奴宛のメールは全部読み込んどるからな。自分以外とこの範囲までカバーする全力プレー(意味深)で河田インセンティブ空振り、ワイらのお気持ち大丈Vやねん(確信)」




