【イ軍編3374】それぞれのストライクゾーン
時は10月、シーズンも残り僅かの消化試合、関西のサ軍VS最弱イ軍戦。
イ軍の正捕手「球界一性格の悪い」綿貫は、年俸査定の分岐点となるバッテリー防御率5点台を回避すべく、最後の戦いに挑んでいた。9月からはなりふり構わず、防御率が下げられそうな先発エース相原、二番手神崎としか組まなくなり、この試合前までで5.05まで強引に持って来ていたのである。
そして本日、同じく防御率インセンティブの懸かった神崎とのバッテリーでは、半分くらい気の抜けた対戦打線に必死こいたプレーで挑み、9回まで3失点。だが、球数が140を越えて神崎もさすがに疲弊しており、制球が乱れて四球四球死球で、二死満塁のピンチを迎えたのであった。
更に悪い事に、ここで迎えるは神崎が苦手としている強打者小堺。2球でファウル2本、0-2と追い込みこそしたものの、タイミング自体は合っており、何かが起こってしまいそうな雰囲気が漂い始めていたものである。
ここで綿貫は、あらかじめ仕込んでおいた秘密兵器の投入を決意。
「コサやんさあ」
と呟き、右打席で構えに入った小堺の注意を引き、指差した先――――自身の右太ももに仕込んだiPh○ne(ボタン押すとスライドして出たり引っ込んだり)には、小堺が推しているアイドルのエ○コラ画像が表示されていたのであった。
「ちょ、待てよ!!!!????」
動揺した小堺は固まってしまい、その隙にド真ん中ストライクでゲームセット――――かと思いきや、まさかのそうはい神崎。球審も身を乗り出してエ○コラ画像を見ており、
「(ワイの好みのストライクゾーン的には)ボ―――――――――ル!!!!」
コール。
これに激しく動揺したイ軍バッテリーはガンギレ&ガンギレ、間の悪い事にイ軍監督がリクエストを使い切っていた為、訴訟もチラつかせながら審判と交渉(意味深)、最後は泣き落としまでしたものの、球審サイドも神崎・綿貫の日頃からの詐欺的プレーにガンギレ&引くに引けない感じになっており、結局判定はそのままで試合続行。
動揺が抑えられない神崎の投じた4球目は超打ち頃のホームランボールとなってしまい、小堺がフルスイングした打球は夜空へGO。綿貫のバッテリー防御率インセンティブは、お星様となったのであった(適当)。




