【イ軍編3369】視野を広げれば打てる! という風潮
現役時代「曲者」という異名で呼ばれ、いわゆる一つの抜け目のないプレーに定評のあった元バ軍の木元が、最弱イ軍の打撃コーチに就任。
「右打者は右目、左打者は左目、効き目じゃない方の動体視力を強化する」
と銘打って、目の訓練に着手したものである。
「球界で誰よりも目の使い方を知っとる(※徹夜でゲームしまくり)ワイらに対する挑戦状やな」
「木元はんは、選手の得意なところを伸ばそうとする名コーチやで(確信)」
てな感じで、珍しく乗り気になるイ軍大便秘打線。
そのやる気スイッチ16連射された姿を見て、木元は邪悪な笑みを浮かべるのであった。
(初めて彼奴等の打撃練習を見た時、これはもう、まともにやっても絶対打てんと確信したからな。目の可動域を広げて対戦キャッチャーのサイン盗むしかない、いくら大便秘打線でも、何が来るか分かっとれば打てるんやで――――――――多分)
と、指示を出した木元自身は一抹の不安を抱きながらも、視界拡大に成功した大便秘打線であったが、これがとんでもない悲劇を産んでしまった。
なまじ捕手のサインを盗んでしまうが故に、ちょっとでも内角寄りだと、
「アカンこっちに来るボール怖E~ッッッッ!!!!」
と、ビビりまくり。腰が引けてなけなしの死球が激減、ただでさえ低い出塁率が更に下がってしまい無事死亡。木元は責任を取らされ風のように解雇、サインどころか「奴はとんでもない物を盗んでいきました。奴の職業生命です(錯乱)」的な、セルフ・スティール・ボールが完成したのであった。




