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【アームブリスター編①】びしょ濡れダイブ
9月、雨天中止になったイ軍戦。
新宿球場では間の抜けた雰囲気になっており、生き残りを賭してシーズンを戦う緊迫感の反動で、ぼんやりした空気が流れていた。
このままこうしていても仕方なし、ファンたちもそろそろ帰ろうかというところで、一塁側スタンドで歓声が起こった。
見れば、イ軍のブリちゃんことアームブリスターが、雨天中止の無聊を慰めようと、グラウンドに張られたシートにヘッドスライディングをカマしているのであった。
あからさまにウケ狙いのあざとい所作ではあったものの、無駄に必死な様がそれなりに面白くはあり、数少ない子供ファンからやんやの喝采を浴びていたものである。
「オレはちびっ子ファンにこれだけ愛されているんだぜ!」
今シーズン打率2割以下ながら、来季以降も日本球界で高給を食む為の、ブリなりの猛アピールなのであった。




