【エンペラー・ボールに分からせた男たち】
通算334勝、その大半をドラフト1位入団したパリーグの弱小球団で稼ぎ出し、最速159kmの火の玉ストレートと落差33.4㎝のカーブを武器に、ワンマンオーナーから寵愛&寵愛を受けた豪腕投手組橋。監督を超えた権力者として振る舞い、自身の成績を最優先にした登板スケジュールを組んだ事から、「天皇」とまで呼ばれるようになったのであった。
だが、そんな組橋も15年前に前述のオーナーが失脚してからは、それまで爆買いしていたヘイトが原因で秒速放出。しかし長年沁みついたフォア・ザ・ミースタイルは容易に改まるものではなく、行く先々の球団で大小のトラブルを起こし、まだ年間100イニング、防御率3点台をマーク出来る余力を残しながらも、「セ界の貯金箱(※他球団的な意味で)」こと最弱イ軍に加入するところまで落ちぶれたのであった。
果たして、大暗黒のイ軍で戦犯系ベテランズとバチバチ、トラブル人生の集大成になるのではと期待――――いや、危惧された組橋であったが、意外にも何の問題も起こさずシーズンを完走したのであった。
「さすがの天皇も、ワイらの野球が高度過ぎてついて来れんかった模様」
「借りて来たキャットとはまさにこの事」
「彼奴に恨みを持った皆様の無念を晴らしたから(多分)、ジャスティス執行料投げ銭してどうぞ(提案)」
てな感じで調子に乗りまくるイ軍戦犯系ベテランズであったが、彼奴等のせいで組橋がしろらしムーヴになったのは事実なのであった。以下、自伝の宣伝で出たy○utubeで組橋本人曰く、
「ワイの勝ち星ゲット必殺パターン、『4回途中とかでリリーフワイ』投法なんやが、イ軍でだけは出来んかった。相原やら神崎やらが先発してリードしとる試合でも、野手連中がいつやらかして逆転されるか分かったモンじゃない、勝ち星どころか黒星リスクがデカ過ぎて怖くなっちまってなあ。リリーフワイイップスになってもうて、どないもならんかったわ(震え声)」