【イ軍編3342】絶対に受けてはならないメディカルチェック!
FAイヤーとなった今シーズン、まぐれで打線と噛み合いまくり、防御率3.95ながらも13勝を挙げたサ軍の右腕投手寺井。現役8年で通算23勝・防御率4.59という微妙さであったが、先発投手が不足している複数球団で争奪戦となり、最終的には「球界の盟主」バ軍と「セ界の貯金箱(※他球団的な意味で)」最弱イ軍とのマッチレースとなっていたものである。
「オワコン化が止まらない野球とはいえ、バ軍ブランドの威光はワイが現役終わった後もしばらく再就職は大丈Vやろからなあ。なもんで本命はバ軍やが、イ軍にも積ませるだけ積ませて、バ軍の条件を引き上げるやで~ッ!」
というノリで銭闘士モードに突入した寺井は、「誠意(意味深)次第ではイ軍さんもワンチャンありまっせ」仕草を連発し、バ軍・イ軍ともに5年15億まで条件を釣り上げたところで、「ほなイ軍さんにお世話になりますわ」と返事し、契約前のメディカルチェックに臨んだのである――――が、
「こちとらイ軍内部のスタッフに投資済(意味深)でよ、先様のメディカルチェックの基準を完璧に把握しとるからね。ワイの肘の摩耗度がバ軍基準ならOK、イ軍基準だとNGいうのが幸いやった、これでこちとらに守銭奴的なイメージが付く事無くイ軍が撤退、晴れてバ軍入り確定なんやね」
と、邪悪な笑みを浮かべた寺井であったが、チェックした病院のベッドの上で、
「フーッ、FA権取ってからこっち、色々頑張った(意味深)から疲れたわ。大勝利の眠気やね」
「―――――ォん? 何か結構長いこと寝とった可能性が巨レ存…?」
と、目を醒ました寺井の右肘には、何やら包帯が巻かれており、枕元にいたFA交渉担当のイ軍役員曰く、
「寺井はん、メディカルチェックの結果、イ軍基準では契約NGの肘の消耗が認められての~。しかしやで、バ軍を振り切ってウチを選んでくれた寺井はんの男気に答えんさいというオーナー指令が出ましてね、出血大サービス、無料で治療させてもらいましたわ。これで何の障壁も無くなったから、今日は契約書にサインして帰ってどうぞ」