【イ軍編3337】球界一性格の悪い捕手が贈るワイシカ・ボール
「キャッチャーがちゃんと球捕らんと試合になりませんで」
と、「球界一性格の悪い捕手」こと最弱イ軍の正捕手綿貫に言い放ったのは、若きエース相原。決め球の鋭く曲がるスライダーを綿貫がポロリしまくり、挙句変化球のサインを出さなくなった事についての指摘であった。
この火の玉ストレートに対して、
「ケーオツケーオツ(オーケーオーケー)、ユーがそこまで育ってたとは、ワイの育成力におったまげた、次からは少し本気出してやるカナ」
と、異次元レベルの上から目線で鷹揚に構える態で流した綿貫であったが、その実、「ファーーーーッキュ!!!! ちょっと顔面偏差値高くて球が曲がるからって調子乗りおってファッキュッキューーーーッ!!!!」と、ガンギレオブガンギレ。「生意気なエースを〆てやるッ!」と、次の先発登板時、相原と組むブルペン捕手に、全然いい音が鳴らない消音ミット(適当)を装備させたものである。
「ぉン? もしかし今日、全然球行ってない…?」
と、ブルペンで首を捻りまくる相原を、邪悪な笑みで眺める綿貫。
(これで動揺した彼奴は大炎上でよ、反省からのワイのリードに従って来週の試合からは勝てるようになるやろ。今日はアレだけどトータルでの勝ち星は増えるから、決して八百長ではないんやで(震え声))
という綿貫の目論見は、しかしとんでもない悲劇を産んだ。
ブルペンで違和感を感じた相原が、試合ではヤケになって通常の三倍は全力投球したところ、最速160km近い荒れ球が全然サイン通りに来ないとかいう事態が発生。
するうち、顔面近くに来た直球を避けられず、「ウボァー」という悲鳴と共にマスクごと吹っ飛ばされた綿貫は病院送りで無事死亡。身を挺してエースの球速をアップさせる、ワイシカ・ボール(ワイの屍を越えて行け)が完成したのであった。