【イ軍編3322】必殺バニシング投法
――最弱イ軍の新人広報Z、春季キャンプリポート――
メジャー通算13勝の実績を引っ提げて年俸3億3千400万で入団した大物新外人ボンキーマンの初ブルペン入りで、衝撃が走った。
「球の出所が見えない」
監督、投手コーチ、ブルペン捕手――。その場にいた誰もが、言葉を失った。今までにないタイプの投手の出現に、井関監督も
「――これはおおごとになるで。いわゆる一つの事件やね」
と、絞り出すのがやっと。この秘密兵器をオープン戦のどのタイミングでお披露目するか、首脳陣は緊急ミーティングを実施。今季、B旋風でイ軍がペナントレースに革命を巻き起こす。
以下、イ軍「パネマジ広報」白井とその部下の感想戦――。
「新人ニキの記事読んだけど、なかなかやるやんけ。ああいう感じでええんや、嘘は言っとらんけど、本当の事を全部書いとるワケじゃない。あれこそがイ軍イズムよ」
「ああ、『球の出所が見えない』とか何とかのヤツですね。例によって悪徳代理人に掴まされた高額大ハズレ、今回はヤバもヤバ、野球経験が無くて、ブルペンで投げ方が分からずぼっ立ちしてただけという…」
「ローテの柱にする構想だったらしいから、そら監督らもショックで言葉が出んくなるわな。獲ってきた担当役員に忖度して、一応一回は投げさせて重大な故障発生→シーズン絶望で投げられなくなるいう台本で動いとるらしいで」