【イ軍編3306】データ全否定監督がデータに頼った末路
セイバーメトリクス全否定、自らの経験と勘にオールインするオールドスタイル采配に定評のある大串。その豪運と勝負勘で、7年のプロ野球監督経験でAクラス2回、リーグ優勝1回の実績を誇っていたものの、6年連続99敗の最弱イ軍ではまるっきり打つ手無し。勝率1割台で解任5秒前という状況で、本拠地新スタでの試合日早朝6時、今まで散々ディスりまくっていたデータ班の部屋に赴いたものである。
そこから10時間データ部屋に籠った大串はスッキリとした晴れやかな表情で審判へのメンバー表提出に現れ、
「イケる! 今日はイケるで~ッ!!!!」
と、絶叫。球団関係者のリークでデータ部屋の件を知った現地オタは、
「大串の野郎、遂にデータ野球解禁か? まあ何が変わるって、あまりにも弱過ぎ&勝ち目無さ過ぎて、放棄試合という選択肢が浮かび上がってくるぐらいやろうが…(錯乱)」
「ちょっと遅かったの~、過去データ見たら監督絶対引き受けてない、関わったら負け球団なんやがの~(震え声)」
てな感じで、憎まれ口を叩きながらも、ちこっとだけ何かを期待してしまう空気になっていたものであるが、当のデータ班からの追いリークで総員おったまげ不可避。
「いやあ、大串はんは確かにデータ部屋に来るには来たんやが、選手の詳細数値、打率や防御率のあまりの酷さに、秒速で失神してしまっての~。こっちにおった10時間ほぼ快眠、分析も何もあったもんじゃないで」
こうして、ペナント開幕から一か月、成績不振と解任の恐怖で不眠に陥っていた状況で、久々にまともな睡眠がとれた大串の勘ピューターが冴え渡り――――いや、冴え渡り過ぎた。
「一番運気が強い奴を起用する」
として、選手全員とジャンケン、自分に勝った回数が多い者から順にスタメンを組むとかいう異常采配を展開したのである。結果、チーム内首位打者(打率2割2分9厘)の闇商人兼野球選手リバースが控えに落ちて、打率0割のリリーフ投手が4番になってしまうなど、ただでさえ大便秘な打線にとどめを刺してしまい無事死亡。打者がおったまげたまま何も出来ずにノーノーを喰らうとかいう、記録にも記憶にも残る暗黒をファンや関係者に叩き込んで、大串は風のように解雇されたのであった。