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【城戸編125】絶対に乗せてはいけない打者
イ軍本拠地新宿スタジアムに於けるサ軍―イ軍戦。
1-11とイ軍大敗ムードの中、サ軍リリーフ川井が「帳尻の鬼」「アジアの不良債権」ことイ軍4番城戸に特大ホームランを浴びたものである。
例によって試合の大勢にほぼ何の影響もない、無駄打ちもいいところの一発であったが、スタンドからは川井に激しいブーイングが降り注いだのであった。
(フッ、サ軍ファンの奴ら、俺を意識し過ぎるあまり、投げる奴に対して採点が辛くなるようだな。今のは打った俺を褒めるべき一発だぜ)
脳内お花畑を満開にさせながら、ブーイングを繰り返すファンに向かって、城戸は「抑えて抑えて」のジェスチャーを披露する余裕をぶっこいたのであった。
一方その頃、川井に激しいブーイングを浴びせていた一団。
「おいこらふざけんなよ川井!」
「これでまた城戸の引退が遠のいたじゃねえか!」
そう、彼らはイ軍最大の敗北要因である城戸引退を願う、過激派ご都合原理主義のイ軍ファンだったのであった…。




