【イ軍編3239】伝説の打撃コーチ「ポマエらがおるからワイは来たんや」
かつて関西の雄サ軍で、幾多のタイトルホルダーを育てた実績を持つ「育成の鬼」こと伝説の打撃コーチ曽我。既に球界から離れて5年、齢70を越えていたが、不倫バレからの離婚訴訟完敗による止むを得ない金銭的事情(慰謝料)により、現場復帰を画策。しかし50年連れ添ったヨッメへの裏切りのイメージが最悪過ぎて、再就職が難航&難航。大便秘打線打破になりふり構わぬ最弱イ軍だけが、粘着質に入団交渉を続けていたものである。
そして、曽我が逆提示した付帯条件――――全試合リムジンによる球場までの送迎、毎日全種類2本ずつのガリガリくん支給、ホーム球場での「球界の盟主」バ軍戦シーズンチケット2枚確保(新愛人がバ軍オタ)――――を、イ軍側が全て呑む方向で合意し、あとは契約書にサインするだけ。となった段階で、
「最後にワイが指導予定のヤング連中の視察さしてどうぞ」
と、曽我が言い出したのであった。
「ファーーーーーーーーーーーッキュ! アカン! 条件詰めだけで押し切る流れだったのに、ウチが数合わせ指名(不人気過ぎてまともなドラフト候補からは全逃げ)でロクな素材おらん事がバレて就任おじゃん不可避やがな!!!!(憤怒震え声)」
てな感じで入団交渉に当たっている担当者は頭を抱えたのであるが、二軍の打撃練習でイ軍ヤング打者の球が飛ばない、それ以前にそもそもバットに当てられてない惨状を確認した曽我は、力強く打撃コーチ就任を宣言したのであった。曰く、
「――――イ軍の現状はよう分かりました。これなら就任しても大丈夫や。ヤング連中が素材的に想定の5億倍酷過ぎて、全く育たんでもワイの完全無罪を立証出来る確信を得られたんやね(震え声)」




