【イ軍編61】特殊シフト
深刻な投壊現象から、イ軍がメジャー3Aより緊急補強した新外人投手ベンソン。
しかしというか何と言うか、さすがはイ軍海外スカウト陣が連れてきた人材、打順が一巡した4回には敵打線にたちどころに捕まり、5失点に加えて1死満塁と、早くも試合を壊しかけていたものである。
この状況に、イ軍監督不二村は野手陣に向けて特殊シフトを指令。それを受けたイ軍外野手が、そろりそろりとマウンドへと距離を詰める、奇怪な動きを見せたのであった。
そして、満を持して不二村が投手交代の為にマウンドへ――と、その瞬間、ベンソンがクルリと後ろを振り向きボールを持ったまま降板拒否の大逃走! ベンソンを捕獲するべくシフトを敷いていたイ軍野手陣を振り切って、あっという間にセンターまで到達したのであった。
せっかくのシフトを強引に突破され、地団駄踏んで悔しがる不二村。
一連の流れのあまりのしょーもなさに、球場からは意外にも割と好意的な笑いが飛んだものである。
その後、ベンソンのメジャー仕込みの(何でもメジャー仕込みと言えばいい風潮)降板時逃走芸はイ軍名物となったのであるが、捕獲する為に野手が走ってはバテてしまい、守備走塁が崩壊して大敗する試合が頻発。結局ベンソンはシーズン開幕を待たずに風のように解雇されたのであった。




