【イ軍編3220】10年の時を経て完成した人間的円熟 か?
かつてパリーグの強豪ド軍で、リーグ3連覇の牽引車として活躍した盗塁王日置、そして三番打者の片寄。
それぞれタイトルホルダーでありながら、職人的な性格が災いし、球団上層部と衝突。FA権の取得を待たずしてトレードされて以降は、結果を残しながらも行く先々で人間関係の軋轢を発生させ、流浪の日々となったものである。
そして時は流れ10年後、片寄がFA移籍していたセリーグのサ軍に、シーズン途中で日置がトレード加入。古参ド軍オタが泣いてガンギマリする、一番日置、三番片寄のオーダーが復活したのであった。
果たしてその初戦、四球出塁した日置が、盗塁を狙う仕草で投手を撹乱。
(おっとアカンわ、これやると片寄の野郎「ヒットゾーン狭まるからチョロチョロすな! 気が散るわ!」言うてガンギレるんやった)
と、思い出し、彼奴に稼がせたくないからこの打席は忘れたフリして盛大に煽ったろ、と邪悪な笑みを浮かべたのであるが、片寄は特に気にする風もなく打席で集中し、フェンス直撃の二塁打を放ったのであった。
その後、ベンチに戻った日置は、片寄にしみじみと語りかけたものである。
「のう片寄、ユーも10年選手になって、余裕が出てきたのう。ド軍におった頃は、ワイが走ろうとすると『目障りやから動くな!』て、秒速でクレーム付けてきたモンやが…」
「はあ? ワイは初志貫徹、ワイが打席におる時は盗塁駄目ゼッタイやで。しかしイ軍とやる時だけは例外や、彼奴等の球ガバ具合は想定の遥か斜め上やからな、一・二塁間に転がそうとしても打球が上がって内野の頭越えるから、何も気にせず打てるし、走者にチョロフリー(適当)を許可しとるんや」




