【イ軍編3123】必殺、粘着質調査対象ボール
「マウンドの詐欺師」こと最弱イ軍の先発二番手投手、神崎。決め球が異物ぬりぬりスピッドボールだけに、審判団からは目の敵にされていたものである。
その中でも芸術性の違い(好きなアニメの方向性)でベテラン審判小俣とは犬猿の仲で、神崎が少しでも怪しい素振りを見せるや、秒速で小俣が異物チェックする様式美が完成していたのであった。
そして今シーズンの夏場の某日、マウンドでピンチを迎えた神崎は、ワザと小俣と視線を合わせておいてボディやベルトやグラブで、いかにも「塗ってます!」みたいなムーヴを連発。ガンギレした小俣が神崎の指を一本一本調べる事態となっていたものの、結果は無念のシロ――――からの、小俣を嘲笑うかのように、不自然に鋭い変化球を投げたのである。
この事態に「ちょ、待てよ!」と絶叫しつつマウンドへ突撃した小俣であったが、神崎と何事かを話した後、意気消沈して引き上げていったのであった。
「神崎さん、あんたもようやりますねえ…」
と、ベンチで呆れるイ軍正遊撃手草加部に、神崎は会心のニヤつきで応えるのであった。曰く、
「オッマ(小俣)の奴、最近育毛に全力で米国産の超強力なのを飲んどるらしくてなあ。それ飲んで汗かくと成分が浮いてきて、いい具合の粘着になるんやね。だから奴にワザとこちとらの指を調べさせて、合法的に変化球の素をお裾分け(適当)してもらったんや。オッマもアレで根がスタイリストやから育毛剤の件は世間に隠しときたいみたいで、真相は無事完封できたわ」




