【城戸編120】出る出る詐欺
サ軍―イ軍戦。
この日の試合前、あまりにもバットを振り込み過ぎて指を故障(※実際はモンハンでボタン連打し過ぎで指を痛めた)した「アジアの空砲」ことイ軍の4番城戸は、自己申告によりベンチスタートとなったものである。
さて、試合は8回の時点で同点と、イ軍にしては珍しく緊迫した展開。1死1塁で打席にはイ軍の8番打者草加部という場面である。この時点で、スタンドから悲鳴が上がった。何と、負傷して試合に出られないはずの城戸が、ネクストバッターズサークルで代打をスタンバっているのである。
(フッ、実際には出られないんだがな)
そう、城戸のモンハンによる指の故障は深刻で、お箸が持てずに困ってしまう程深刻なものだったのである(じゃあスプーンを持てばいいじゃないかとか、残念ながらそういう発想は無かった)。相手に威圧感を与える為、ワザとらしくバットを振ったりガンを飛ばしたりと、出る出る詐欺をやってるだけなのであった。
(そーら、相手ピッチャーびびってる。俺の一睨みでストライク入らなくなってるぞ)
一方その頃、イ軍ベンチ。
「監督、城戸はさすがの貫録ですね」
「ああ、『鬼併(※併殺の意)犯科帳』の渾名はダテじゃねえな。サ軍の連中、1割バッターの草加部を歩かせてでも併殺狙いで城戸勝負だもんな。どれだけ安牌と思われてやがんだ。まあ実際そうだけど」
その後、予定通り城戸は引っ込み別の代打が登場したのであるが、どうせ城戸が併殺って終わりだろうと思い込んでいて全く準備が出来ておらず、簡単に凡退して万事休す。城戸の出る出る詐欺に味方まで完全に騙され、ここにブーメランボールが完成したのであった。




