【イ軍編52】幻の盗塁王
イ軍に未来の盗塁王現る。
か、どうかはさておき、イ軍ではかれこれ数年来は見た覚えがない快速キャラが二軍で台頭。
バ軍をクビになってテスト入団で拾われた若手の佐村が、全打席プッシュバントも辞さない徹底した転がす打撃を習得し、出塁する度に盗塁を連発。鈍足揃いのイ軍にあっては、非常に珍しいスピードスターが誕生したのであった。
この佐村を、「球界の盟主」バ軍に異常な対抗心を燃やすイ軍GM柳澤が放っておくはずもなかった。速攻で一軍に引き上げ、スタメン一番での起用を現場に厳命したものである。
更に、広報部長兼煽り屋の白井に対しては、佐村の盗塁について、柳澤のアイディアに基づいて徹底したショーアップを命じたのであった。
だがしかし、その後、佐村は一軍で一度も盗塁をさせる事なくノイローゼに陥り、短期間で二軍落ちしてしまったのである――以下、白井と部下の反省会。
「うーむ。やっぱ無理だったか。ウチじゃ久々に盗塁出来る選手だと期待してたんだがなあ」
「そりゃそうですよ。佐村の癖を解析して盗塁する時だけBGMで煽ってちゃあ、刺してくれと言ってるようなもんですからねえ」




