【宣保愛甲編③】心霊シフト
毎度、マ軍の強打線がイ軍投手陣を、特にイ軍本拠地東京新宿スタジアムでフルボッコにする事で「新宿大虐殺」の異名を取るマ軍―イ軍戦。
この状況を何とか打開すべく、イ軍が遂に秘密兵器を投入。引っ張り専門の右の強打者揃いのマ軍打線を封じるべく、左翼守備に野球選手兼霊能者の宣保愛甲を投入。試合開始前に即席の心霊ルポをやらかし、
「うわあ…今日のレフト方面…まあ今日は私が霊を抑えるからいいですけど…うわあ…」
などと、散々に煽り立てたものである。
イ軍側は、これを心霊嫌いが多いマ軍の練習時間に延々大音量で流し続けるサブリミナル戦法を展開。果たしてマ軍の初回攻撃、全員が引っ張りを回避し不慣れな右打ちに徹する、予想通りの戦果が上がったのであった。
「フッ、マ軍打線破れたり」
自らの珍采配が当たり、満面のドヤ顔で頷くイ軍監督不二村。
しかし、イ軍側が勝った気でいられたのも、ごくごく僅かな時間であった。マ軍の打球がフィールドの右半分に集中してしまったため、一塁城戸、二塁アームブリスター、右翼魅沢の、ただでさえザル守備な連中が、運動量が増えた事でバテてしまいエラー連発。
守備崩壊の相乗効果で結局いつも以上の大敗を喫し、イ軍お得意のブーメランボールが完成したのであった。




