【イ軍編51】勝ち過ぎの悪夢
「球界の掃き溜め」「キング・オブ・ルーザー」こと東京新宿イディオッツ。
万年解消されない戦力不足と、絶えない内ゲバでセリーグ最下位候補筆頭の糞チームであったが、今年はまさかの番狂わせが発生。何と、4月末からのゴールデンウィークでまさかの9連勝を飾ってしまったのである。
ここ数年、絶対に有り得なかった首位戦線への参加に広報部は大はしゃぎ。連勝中に様々なキャンペーンを乱発しまくったのであるが、それに反して、観客数は加速度的に減少していったのであった。
「フッ、ファンの奴ら、勝ち慣れてないから照れてやがる」
「ちびっ子には難しい、ちょっと大人向け過ぎる野球をしちまったかな」
等々、勝っていながらも脳内のお花畑ぶりは相変わらずのイ軍ナインであったが、当然、事の真相は違っていた。
「何でわざわざ球場でひいきチームがイ軍に負けるところを見なきゃならねえんだ」
「悪者が勝つところを子供には見せられない」
等々、メイン客層であるビジターチームのファンが、イ軍が勝つ事で球場に来なくなったというのが真相だったのである。加えて、いつもストレス解消を兼ねてブーイングしにくるイ軍ファンの足まで遠のいてしまい、勝てば勝つほど集客が悪くなる、とんでもない状態に陥っていたのであった。




