聖人・清貧監督、怒りの豪華特注ベンチ
最弱イ軍に三顧の礼で招聘された、かつてパリーグの名門ド軍で2度のリーグ優勝を果たした名将花田。現役時代の通算打率2割9分4厘3毛、334本塁打という実績を背景に引退から20年後の今でも根強い人気を誇り、本来であればイ軍のような暗黒チームには絶対に来ない筈であったが、不動産投資大失敗による多額の借金により、まさかの電撃就任と相成ったものである。
どうせイ軍の暗黒に呑まれて一年持たずに辞任or解任は避けられないだろうが、せめて在籍時はその人気にあやかってビヂネスで勝っておこうと、
「セーブ・ザ・フラワー、セ界にひとつだけの花(田監督)」とかいう適当極まりないスローガンを発表。最初から負け前提、「同情するなら(グッズ買って)マネーくれ」という割り切り路線で、腰の低さには自信ニキ的な下から目線の極み土下座系プロモーションを展開したのであった。
だが、チームが開幕から3、3、4連敗(それぞれ間に1分け、2分けを挟む)での合計10連敗を喫するなど例年とは一味違った渋い負けっぷり披露&それに伴いお情け爆買い作戦もほどほどに成功し球団サイドが手堅く収益を挙げる中、ベンチの花田監督指定席エリアに、謎の専用椅子が据えられるという事態が発生したのであった。
「こんだけ卑屈な役回りをやらされて、遂に元スター様のガンギレワガママが発動したんやろなあ…。ウン十万円のエライ豪華な仕様の椅子らしいやんけ!」
「まだ一か月も経ってないのに内輪揉めは早過ぎんよ~、聖人・清貧路線にちょっとのスパイスで二面性を打ち出す、サイコパスムーヴで普段は野球に興味が無い中二層を開拓に来てる可能性が微レ存…?」
と、イ軍オタの間では様々な憶測が流れたのであるが、後年、本人が自費出版で出した自伝で曰く、
「ワイは現役・監督時代通じて常勝チームでやっとったから、イ軍のあまりの弱さにハートが悲鳴上げちまっての~。試合の度に意識失ってまともに座っとられんから、特注椅子で、綺麗な姿勢で固定されとったんや。あの椅子はホントによう出来とって、軽い頷きやら首振り、腕組み足替えとかも、全自動で頃合いを見てコーチが操作しとったらしい。気絶しとったから知らんけど(震え声)。あと意識無いのが顔でバレんようにゴーグルつけとってな、何かここぞの采配シーンでは、キラッと光らせとったらしい。あのゴーグルかっこ良かったって、未だに言われるわ(適当)。今回の初告白で世間じゃ色々言われるかも知れんが、ベンチで寝とるだけで億単位稼がせてもらったし、こうやって暴露本出して二重の稼ぎ(フタエノカセギ)なんやから、実質チームから年金が支給されたとようなもんやと、お年玉や遺産目当てのワイのファミリーも喜んどりますわ」




