2〇世紀枠で優勝や!!!!
かつて最弱イ軍で「マウンドの詐欺師」として鳴らし、通算100勝をマークした疑惑の名投手神崎。引退後に構えた小料理屋はそこそこ繁昌したものの、仮想通貨で大損してしまい人生流転、その後も小さな成功と大きな失敗を繰り返し、最終的な収支は大赤――――ながらも、若い頃から生来の気前の良さで下の者の面倒を結構見てやっていたのが数十年を経て功を奏し、ホームレス5秒前に陥る度、ギリギリのタイミングで誰かからリリーフされては助かるのであった。
そんな神崎も80を越え某難病で余命宣告をされるに至り、いよいよ冥途の土産選定モードに突入。
「ワイもプロじゃあ最弱イ軍におって100勝するとか結構やった方だと思うんやが、甲子園一回も行ってないのがずっと心残りでなあ…。出たいわなあ、甲子園…」
と、老人ホームに面会に来る二番目の妻系の四番目の孫(関西の独立リーガーを経て起業し二塁打級のヒットを放って小金持ち)に、しきりと漏らすのであった。
「ジッジには『ユー、野球向いとらんから起業しる! お小遣い300万やっから…』て一打席勝負で消える魔球(意味深)投げて来よって、野球に対する踏ん切りを付けさせてもらった恩があるからなあ…。アレがなかったらワイは今頃野球第三国に行ってでもダラダラ現役やっとって、今みたいなプチ成功はしとらんかっただろうし…。何とかしてやりたいんやで…せや! 今はもうのうなっとるが、昔は21世紀枠ちゅうのがあったらしいやんけ!」
こうして、神崎孫は、会社の社員や近所の暇な連中をアルバイトで雇い、比較的準備するのが楽なスター・〇ォーズのジェ〇イっぽい衣装を着せて、「ワイら25世紀からやってきた高校生チームです! 25世紀枠で甲子園出さしてつかーさい!!!!」と、高野連に殴り込んだのであった。
「えっ…? 高校生ってあーた、何か60超えたジッジとか混ざっとるけど…」
「未来の高校は生涯学習がデフォで、いつでも好きな時に高校生になれますんや。1億総高校生なんやで」
というような不毛なやり取りを、監督として車椅子で随行していた神崎は、
(ちょwwwwマッゴwwww さすがワイの直系子孫やとしか言いようがないが、いくら何でも設定ガバガバ過ぎィ!!!! 1億は人口の事やと思うが、ハード少子化のご時世なんやから、7000万とかにした方がリアリチーあると思うで)
と、呆れ半分以上で眺めていたのであるが、
「しょうがないの~、2060年で野球もオワコン化しとるし出場枠が埋まらんで困ってはおったからなあ、しゃーない、出てもよし!!!! ただその代わり、特例なんやからお中元とお歳暮は弾んどいてや(小声)」
何事も言ってみるもんだなあ…というマッゴから貰った勇気と希望、そして、先発として甲子園のマウンドに立った神崎は(一人じゃ立てないから両側を抱えられる宇宙人グレイスタイル)、マッゴが対戦校の一番打者に渡したお小遣い(意味深)効果で豪快な忖度空振りを手土産に、静かに息を引き取ったのであった。




