【イ軍編2958】トライアウトで掘り出し物製造機と化した戦力外打者
今年も開催された、12球団合同トライアウト。
最弱イ軍から自由契約となった7名も参加しており、その中の最年長(33)である外野手山木は、大いに気合が入っていたものである。
「イ軍では首脳陣が自分の記録を破られるのを恐れた鬼嫉妬で起用されんかったが、戦力欲しい欲しい病の他球団が観たら秒速獲得不可避やろ! セリーグが、いや日本プロ野球がワイの円熟打法に驚愕する日まで、あと119日(来年の開幕日から逆算)」
てな感じでフルスロットル勘違いモードに突入した山木(現役14年、一軍通算安打数3、本塁打0)であったが、こんな無名のしょーもない選手はどこのスカウトも観ようとはしなかった――――と、思いきや、イ軍のスカウトだけは熱視線を送っているのであった。
「フッ、14年越しにワイの凄さに気付いたってワケか。これはイ軍再獲得待ったなしやろの~、最低年俸から10倍界王拳(適当)で億獲り不可避、トライアウトも捨てたもんじゃないで。なおワイの銭闘力で、20倍、30倍を狙っていく模様(震え声)」
と、テンションMAXの山木は、対戦するパリーグのオ軍の投手の球を引っ張ってレフト前へのポテンヒットにしたのであった。
「決まったな…」
スタンドのイ軍スカウトの「こら今日中に契約せなアカンで」という唇の動きを読んだ山木は、会心のドヤ顔を浮かべたのであるが、そのイ軍スカウトが発していた台詞というのが、
「あの山木とかいうリトルリーガー並からヒット打たれるなんて、これは大変な事なんやで。イ軍の大便秘打線を気持ちよく打たせるのは本当に難しいからなあ、今の元オ軍投手は打撃投手としてイケる可能性がワンチャンどころやないから、こら今日中に契約せなアカンで」




