【城戸編588】フォア・ザ・チームとフォア・ザ・ミーの二刀流を成立させた男!
高校通算1本塁打ながらも事前の入団拒否が相次いだ影響で、8年前に数合わせでドラフト1位入団した高卒内野手江崎。もともとの実力がリトルリーグ級な上におサボり&手抜きのイ軍イズムに秒速で染まり、二軍の通算打率も1割に満たない有様であったが、さりとてヘンにドラフト1位で獲ってしまった為に球団もクビにし辛く、また猛烈モンスタークレーマーマッマが煩い事も禍し、ズルズルと時を重ねてしまったものである。
だが、20代も後半になった事で前述のマッマが方針転換。
「宅のぼくちゃんをいい加減野球から解放してあげてほしいんザマス。顔と才能に鬼嫉妬した歴代の監督の嫌がらせで満足にプレーさせてもらえないでカワイソスの極みやけど、ファンを乱獲(適当)して球団の収益には充分貢献しましたからね。もうぼくちゃんの人間的スケールに、プロ野球とかいうオワコンは小さ過ぎるんで…」
と、8月には引退の方針が確定。ただ、花道を作らないと慰謝料がどーだこーだ騒ぎそうな雰囲気に、球団上層部も辟易。「化け物には化け物をぶつけろ」とばかり、たまたま今年も大暗黒で解任&就任を繰り返して監督のなり手が枯渇したところで、「40億の凡打製造機」こと四番打者の城戸に、兼任監督を江崎問題とセットで押し付けたのであった。
その城戸は、
「ぽっくん(江崎)の花道はワイが用意したる! 1打席とかケチ臭い事は言わん、フル出場で4打席でも5打席でも打ったらええ! 痺れる場面で行くから、準備だけはしとけよ」
てな感じで力強く宣言。
しかし9月に入り、残り試合が一桁台になっても動きが無く、江崎マッマからは1日100回の怒りの鬼電が来る事態に突入していたが、城戸は余裕の着拒で完封。からの、シーズン最終試合という劇的な状況で、「四番ファースト、江崎」を実現。これにて現役最後の花道を飾らせ(なお3三振1内野ゴロで無安打)、起用に対するマッマの文句を完封したのであった(ちな相手を買収せず打てなかった事についてはクレーム発生)。
「こないな粋な事しよるとは、城戸もいいとこあるやんけ!」
と、素人極まりないライトオタはおったまげたのであるが、当然そこには城戸でしか有り得ないフォア・ザ・ミーの極みオチが存在していたのであった。地元スポーツ紙記者が解説して曰く、
「城戸の野郎、首位打者争いが佳境で、合法的におサボり出来るタイミングをずっと計っとったんやね。そんで最終戦、自分が欠場すれば逃げ切れるいう段階で江崎をスタメンで出して、『ワイもタイトル争いははっきり白黒つけたかったんやが、今は兼任とはいえ監督やからね、断腸の思いでかわいい選手を優先したんや。ホントは試合に出てヒット打って首位打者決めたかったわー(棒)』言うて貫禄のおサボりよ。首位打者争いのライバルをガンギレさせとったわ(震え声)」




