【イ軍編45】無理に練習してはいけない球団
バ軍監督木嶋は迷っていた。
シーズン序盤、チームは目下5連敗中で、木嶋は巨大戦力を有するバ軍ならではの激しいバッシングに晒されていた。この悪い流れを断ち切る為、次の試合、ローテを少し巻いてでもエースの加納を登板させて取りに行くべきか。加納は前回登板時3回途中で打ち込まれて降板しており、スタミナ的には問題の無い状況ではある。だが、今の時点でローテを無理に崩せば、それはそれで「木嶋は焦り過ぎ」と、またぞろバッシングの嵐が発生するであろう。次の3連戦は安牌イ軍とはいうものの、今の流れでは何が起こるか分からないというのが、木嶋の勝負師としての勘であった。
一体どうしたものか。
ネットで違法エロ動画を鑑賞しながら思案していた木嶋であったが、ふと目に止まったスポーツニュースで肚は決まった――やはりローテ通り、明日のイ軍3連戦初戦は新人投手の先発で行く。
念の為に球団スタッフにニュースの裏を取らせたところ、ヤラセではなく本当だとの事。やれやれ助かった、これで今日は安眠できると、木嶋はエロ動画鑑賞に没頭するのであった。
そして試合当日。
前述のニュース通り、貧打で9連敗中のイ軍は不二村監督主導で休日打撃練習を強行していたのであるが、木嶋の読み通り、エア自主トレ&手抜きキャンプで体がなまりまくったイ軍ナインは、練習で既に燃え尽きていた。
通常の3倍はバットの振りが鈍くなったイ軍打線を相手に、バ軍新人投手が楽々完封。練習して自滅するというイ軍のブーメランボールで、バ軍は首位戦線に復帰したのであった。




