【イ軍編2901】あと一人! ノーノ―直前のマウンドに集結する全野手!
最弱イ軍の第二先発「マウンドの詐欺師」こと神崎の登板試合。対戦サ軍が打線の核である一番、三番、四番打者を故障で欠いた上に、残りの打者も絶不調。同時に神崎の使用する異物――いや、球のキレ(意味深)が絶好調で、5四球2失策と走者は出すものの、9回二死までノーヒットノーランを継続していたのであった。
このタイミングで、イ軍の捕手、内野手に留まらず、外野手までが全員マウンドに集合。何事かを神崎に話しかけるのだが、徐々に神崎が顔面ブルーレイかつ深刻な表情になったところで解散。
果たして神崎は最後の打者への配球で珍しく正捕手綿貫のサインに首を振りまくり、配球吟味オブ吟味。カウント2-3まで行った後にファウルで粘られた末の11球目、何とか一塁寄りの投ゴロに切って捨て、自ら捕球し最後は一塁の城戸を制してベースにスライディングまでカマしてノーヒットノーランを達成したのであった。
そして試合後、神崎へのインタビューで明かされた快挙達成の裏側に、スタンドの誰もが涙不可避に陥ったのである。曰く、
「いやあ、最後ホント参りましたわ…。あと一人のとこで野手連中がワラワラ集まってくるから何かと思ったら、『ワイのとこに打たせろ』と。その理由が、『記念のボールを売って生活費の足しにする』言いよるんですわ。バーロー! ボールの所有権はワイや! 実際は球団かもしれんがワイや! 言うても彼奴等に常識なんか通用せんから、もう絶対売却モードになってしまっとっての~。ほんで仕方ないから最後こちとらがボール確保するには投ゴロか投フライにしとめるしかないから、〆るのにエライ苦労したんやで(憤怒震え声)。記念のボール? 本人ワイのサインで付加価値つけて、オークション出して売却しますわ」




