【城戸編580】男と…の勝負
「159km出てた? そんなに速くは見えないな。フォームもこじんまりしてるし、20歳で小さくまとまってもしゃーないないやで。もっと全力、全身全霊で、榊君の最速を見せてくれ」
という、何か分かった風の上からコメントを繰り出したのは、「40億の不良債権」こと最弱イ軍の四番打者、城戸。日本最速記録更新を狙うマ軍の超新星、榊に3打席ノーヒットに抑えられた試合後の言であった。
この城戸の挑発? に、ヤングならではの血の気の多さで、次回対戦ではダイナミックフォームで161kmをマークし、大便秘打線に牙を剥いた榊。
そんな榊に対して、城戸は待ってましたとばかりにバントを仕掛け、全力投球で守備モーションに移るまでに伸びたタイムラグを突いて内野安打3本稼いだものである。
真っ向勝負を完全否定した上に、チームを犠牲にしてまで自分の成績を優先するフォア・ザ・ミー仕草に、球場の野球オタは城戸に対して大ブーイングの嵐。
「男と男の勝負をしろぉぉぉぉンゴォォォォ!!!!!!!!」
という煽りに対しての城戸のアンサーは――――――――
「今日はチーム成績を超えた部分で、男と大人の勝負をした。この世知辛いご時世、お客様ファーストでエースと四番が繰り広げるロマンティック・ベースボールを提供させてもらったやで」




