【イ軍編2868】「お前もうホームラン打つな」
毎年有望株をドラフト指名しては風評被害を恐れての入団拒否の嵐で、新人獲得鬼困難状態の「球界の掃き溜め」こと最弱イ軍。
そんな状況ではスカウトのモチベーションも全く上がらず、他球団のスカウトをストーキングするか、ご当地グルメ目当てで地方を流すのがせいぜいであったが、東北地方を担当するスカウトがたまたま見かけた県立高校の試合で、天性の飛ばし屋系2年生を発見。
投手が弱く試合は1-14でコールド負けしたものの、その2年生は本塁打と2塁打を1本ずつ放ち、プロで上手く鍛えれば、シーズン15本塁打ぐらいワンチャン有り得そうな雰囲気を漂わせていたのであった。
これは滅多に無い掘り出しものと、イ軍東北スカウトはプロアマ規定ぶっちぎりで栄養費を渡しつつ、
「ユー、もうホームラン打ったらアカンで。高校時代に金属バットでホームラン打ち過ぎると、ヘンな癖が付いてプロで打てなくなるんや」
と、テキトーな事を吹き込み、囲い込みを試みたものである。
この畜生ムーヴに、月2万の栄養費に目が眩んだ高2ニキは一も二も無く承諾。2年後のドラフトでイ軍の隠し玉として指名――――の筈であったが、ホームラン禁止指令を守ってバットを短く持った結果、今度は安打製造機としての才能が開花し、公式戦で打率7割をマーク。そこから「球界の盟主」バ軍のスカウト網に引っ掛かり、3倍栄養費(月6万)で転がされて万事休す。そこから「ホームラン狙ってどうぞ」みたいなバ軍の指令で長打と巧打を両立する打者に仕上がり、ドラフト1位候補に成長。堂々「11球団OKです(※イ軍以外)」宣言し、イ軍の「ワシが見つけた」伝説に新たな1ページを加えたのであった。そして当然、イ軍に指名されても入団しないのであった。




