【イ軍編2856】FA戦士を射んとするならばヨッメの教育熱を射よ
関西のサ軍で2年連続15勝をマークしたエース江端。敬愛する監督が解任された上に、今オフFA権取得とあって、去就が注目されていたものである。
そんな江端に、チーム防御率6点台の爆炎投手陣を抱える最弱イ軍も大注目。何とかFA獲得出来ないと策謀を巡らせた結果、鍵を今年度私立小学校受験を控えるキッズ、そして受験勉強を主導するマッマが握っていると突き止めたものである。
「先様は関西の名門校を受けるつもりやが、先々の事を考えたら東京のトップ校を受けた方がええに決まっとる! 志望校を切替させて、『勉強に集中出来る環境をファミリー一丸で作る』とか何とか洗脳して、在京セリーグ――――江端はアンチバ軍やから、消去法で残るイ軍に移籍不可避な状況を作るんや!!!!」
という球団社長の号令の下、予算〇千万を付けられた江端家教育意識爆上げ作戦が発動。江端キッズ、ヨッメの生活空間に『より良い環境(東京)で勉強する事こそが至高』みたいな意識を、日常生活で刷り込ませる洗脳を施したのであった(塾の教師にお小遣い掴ませて『東京はええぞ』と言わせたりと地道な取り組み)。
果たして、江端家の意識が高まり、東京への移住を検討し始めたまではよかった――――――――のであるが、予想外というのは、彼奴等の視点が異常な高さまで至ってしまった事である。
「これからは日本やない、世界や!!!!」
と、東京をすっ飛ばして海外に目が向いてしまった事で万事休す。
「ファイナルアンサー、ハーバード大学! ほな野球チームはボストンやね」
てな感じで、以前は「アメリコは食べ物が合わんからメジャーは無し」と言っていた江端がキッズ優先で宗旨替えし、球団も「それならFAよりキャッシュが入るポスティングやろ」と、お得な方向へ舵を切り、イ軍の15勝投手獲得の野望は潰えたのであった。




